自動車同士の事故では過失の割合で双方の意見の食い違いがあると、解決までの期間が長引く原因になります。
自動車が完全に停止している状態で追突されたケースでは0対10でも、少しでも自動車が動いていれば被害者であっても過失割合が生じ、どの程度の割合になるかで話し合いが滞ってしまいます。
交通事故の解決が長引くと、慰謝料や休業損害などの示談金は示談成立まで支払われず、治療費以外の費用が自己負担になります。
また、示談成立までの期間が長期化すると加害者・被害者ともにストレスになります。
近年ではドラレコが普及し、万が一に備えて設置台数が年を追うごとに増えています。
国土交通省や保険会社も設置の推奨をしています。
交通事故の過失割合はどのようにして決まるのか?
過失割合を決める際、一般的に使われるのが「別冊判例タイムズ 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という本です。
この本では、代表的な事故の「基本割合」が図で示され、さらに割合を上下させる「修正要素」が記載されています。
例えば、直進車A・右折車Bとも青信号で交差点に進入し衝突した事故の場合、「基本割合」は直進車Aが20%、右折車Bが80%の過失割合になります。
ですが、もし右折車Bがウィンカーを出さずに右折した場合、合図なしの「修正要素」が適用され、過失割合は直進車Aが10%、右折車Bが90%となります。
ドライブレコーダーの映像は事故が起きたとき提出が必須?
ドラレコの映像は個人情報のため提出は任意であり、相手が開示を拒否した場合に強制することはできません。
相手が開示を拒否した場合でも自身の自動車にドラレコが設置されていれば、このようなケースが起きても安心です。
ただし、民事訴訟になり裁判所から「文書提出命令」としてドラレコの映像の提出を命じた場合、データを開示しなければなりません。
交通事故でドライブレコーダーの有効性を感じるとき
交通事故でのショックから事故の状況や場所などの記憶が曖昧になるケースや強い衝撃で意識を失った場合、事故の記憶がないこともあり得ます。
また自身の記憶がはっきりしていても、相手方との意見と食い違うこともあります。
このような場合、ドラレコの映像が重要な証拠になります。
ドラレコの映像があることで話の食い違いが無くなり、過失割合の示談が早くなります。
また、映像データの提出で事故当初の相手方の主張する過失割合と最終的な過失割合が逆転した判例もあります。
データの上書き、録画されていないことにも注意する
ドラレコを設置していても
「事故から時間が経って映像が上書きされてしまった」
「電源がOFFになっていた」
というケースが報告されています。
また、機種によっては映像の容量がいっぱいになると録画が停止し、手動で映像の削除を行わないと録画が再開されないものもあります。
日ごろから車両とともにドラレコのメンテナンスにも注意しましょう。
万が一に備えてドライブレコーダーを設置してトラブルを避ける
ドラレコの普及により設置台数は年々増えています。
設置することで交通事故被害に遭われた際は、映像記録が自身や家族を守ることに繋がりますので、まだ設置されていない方は一度検討してみてはいかがでしょう。
(仙南支店 伊藤)